歯科治療と東洋医学

岡永歯科・顎咬合整体研究室

 日本と中国の東洋医学に対するスタンスの違い

 

 ● 日本の医学史的汚点

 江戸時代以前の日本の医学は、東洋医学一辺倒でした。それが、江戸時代の後期になって蘭学が伝わるようになると、西洋医学も行われるようになりました。
 確かに、科学的な西洋医学は、解剖学の基礎の上に外科学の目覚しい進歩があり、東洋医学にない長所を持っていました。ですから、「明治になって西洋医学が採用されたことは、間違ってはいなかった」と思います。しかし、残念ながら、「臨床医学的検証を経てその決定がなされた」とは言いがたい側面もあります。
 江戸時代には、幕府方の御殿医である漢方医が西洋医を弾圧しました。そして、明治時代になると立場が逆転して、西洋医が漢方医を根絶やしにしました。つまり、日本では、きちんと臨床医学的検証を経て、東洋医学から西洋医学に変わったのではないのです。
 それでは、漢方医が根絶やしにされる中、何故、針灸は残ったのでしょうか。それは、「盲人の職業として針灸を残そう」という社会福祉的な発想で、決して医学的な理由ではなかったのです。


 東洋医学を捨てた日本の医療

● 東洋医学に注目した医師達

 明治以降、東洋医学が廃れる中、一部の医師の中に東洋医学を見直す動きが起こりました。漢方の大塚敬節先生や針灸の間中善雄先生などの先駆者が、東洋医学の有用性に着目して地道な研究を続けた結果、かろうじて日本の東洋医学は残りました。そして、今では、日本東洋医学会を中心に研究が進められています。
 

● 中国の歯科医学書に見る漢方・針灸

 中国の歯科医学書を原書で読んでみると、口腔病に対する漢方薬の用い方がよく解ります。
 中国では、歯周病や口内炎、舌炎などの全身療法として、漢方が処方されています。最近では、舌痛症、シェーグレン症候群などにも漢方が処方されるようになりました。しかし、歯痛や顎関節症、三叉神経痛、顔面神経マヒなどには、どちらかと言うと針治療、推拿療法が用いられる機会が多いようです。
 日本のの医学が中国よりも遅れているとは言いません。しかし、中国は、日本と異なり、西洋医学と東洋医学の融合政策を採っています。そのため、日本と比べて漢方や針灸の症例数が多く、東洋医学を臨床応用する際の参考になります。


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